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林業一年生 Vol.29

投稿日: 2023年1月24日 minamitsuru

森づくりワークプログラム

 

3年生になった筆者からのごあいさつ

随分と久しぶりの投稿となります。いつの間にか時は2023年が明けました。

本年もよろしくお願いいたします。

ブログのタイトルは『林業一年生』ですが、実際に筆者は3年生になり、地域おこし協力隊として南都留森林組合(以下、森林組合)に着任してから、2年半以上が経ちました。2年目、3年目と活動が進むにつれ、林業二年生、三年生・・・とタイトルを変更しようかとも思いましたが、まだまだ林業の知識も経験も実際には一年生だということと、いつまでも初心を忘れずに、ひとつひとつの感動や学びを大切にしていきたいという思いで、タイトルはそのままにしました。地域おこし協力隊としての任期も残すところ4か月となり、これまでの活動のまとめとしてみなさんにお伝えしたいと思いキーボードを叩いております。

 

森づくりワークプログラムとは

 

今回は、我々地域おこし協力隊が中心となって進めている森づくりワークプログラムについてです。

プログラムの構築を始めたのは、2021年春のことで、林野庁が推進する『森林サービス産業』[1]推進地域に申請し、準モデル地域に採択されたことが始まりでした。プログラムは、都留の森を舞台に、森でのしごと(林業)を通じて、参加する人も森も元気になるプログラムを作りたいという思いから創られています。

2020年、私は林業の知識も経験もなくこの世界に飛び込んできました。

最初の頃は毎日のように山に入り、林業についてはもちろんですが、山のこと、森のことを学ぶ日々の中で、森の中でカラダを動かしたあとのごはんがおいしい!お風呂が気持ちいい!よく眠れる!ということを身をもって体験し、心もカラダも元気になっていく自分がいました。森の持つ多様な役割、知られざる森の魅力・・・これこそ、私たちが林業や森を知らない人々に伝えるべきことではないかと思いました。

都留市は市の面積の8割が森林という環境で、日本全国の他の地域が同じように抱える多くの課題があります。人の手が入らなくなった山林はどんどんと荒れていき、本来森が持つ多くの機能を失っていきます。自然災害の発生、野生動物による獣害、山林所有者の世代交代など、問題は深刻です。私たちはそういった森の空間を整備・活用して、自然環境の保全、美しい森の再生、そして森と人の生活を結びつけるためのきっかけづくりをしたいと考えています。

森づくりワークプログラムは、チームビルディングを目的とした研修や、森や環境について知る森のツアーなどを通して、参加者の人たちと一緒に少しずつ森の整備をしていきます。そうすることで、森も訪れた人も元気になることを目指しています。

 

モニター企業研修 with C-Table

 

【初日】

今回、都留市でデジタルメディアの開発などを通してまちづくりに取り組む企業『C-table』さんにご協力いただき、モニター研修を実施しました。プログラムは、2日間にわたり、森について学びながら、最終的にはグループで伐倒をしてもらいます。最後の伐倒に向けて参加者たちは徐々にチームワークを高めていきます。

初日は森のはなしからスタートです。日本の森の現状と課題、森の基礎知識、森づくりとはどういうものかを座学で学びます。

プログラムの導入『森のはなし』

 

その後、実際に森に入り、直接自然に触れてもらうことを目的とした森のロゲイニングです。ロゲイニングというのは、地図やコンパスを使いながら野山を歩き、決められたポイントやミッションをクリアしていくオリエンテーリングのようなアウトドアゲームですが、グループで協力しながらミッションをクリアしていくので、アイスブレイク的な意味合いと、森との出会いの入口になるようなアクティビティとしてセッティングしています。

ミッションは、地図とコンパスを使用してスタート地点から方位角と距離でチェックポイントを探し出し、そこで指定されている構造物の写真を撮ったり、生えている木の名前を解答したり、森の中に隠されているキーワードを探して解答するといった具合です。同時に森のアイテムを探し出す『森のビンゴゲーム』も行います。

参加者の人たちは、普段ほとんど森に入ることがない方が多く、最初は難易度が高いと感じたようですが、少しずつ森の見方や歩き方がわかってくると、森のアイテムを見つけることができたり、チームでのコミュニケーションが活発になり、ゲームの楽しさを感じていただけたようです。参加者の方からは、「普段とは違う非日常の空間で、ワクワク感や好奇心が刺激された」とか「自然とコミュニケーションが生まれる仕掛けや、チームで役割分担をしなければならないミッションなどから多くの視点を持ち楽しかった」という感想がありました。

ロゲイニングの様子

ロゲイニングの様子

 

午後は森の診断と選木です。2日目に伐倒する木を自分たちで決めるのですが、そのためには、間伐の意味を理解し、森を診断しなければなりません。実際に自分たちが間伐する森で、10m×10mの範囲のすべての木の胸高直径と樹高を調べ、何本の木を伐るべきかを割り出し、成長の悪い木や、曲がったり、股が分かれていたりと木材としての価値が低い木などを伐採対象として選木します。間伐は林内に入る日光の調整が大きな目的ですので、最終的には樹冠の様子を見て、間伐後の林内を想像しながら選木がされます。林業の世界では施業する際の指標として日常的に行われる森の診断ですが、参加者のみなさんは、初めて耳にするような言葉や使ったこともない林尺を渡され、とまどいながらも、チームで協力して作業を進めていました。

このプログラムは、単なる体験として間伐を行う際には必要ないのですが、森づくりという観点からはとても大切なワークのひとつです。間伐の意味を理解し、選木する際の視点を養うことで、森の見方は確実に変わります。一般の人たちが森に入って感じる「森って気持ちいいね」という感覚的なものが、一気に論理的な根拠に基づくものになります。

森の診断 10m×10mを測る

森の診断 胸高直径を測る

 

初日の最後は、チームごとに焚火を囲んでのダイアログ(対話)です。一日の活動を振り返って、研修の目的であるチームワークがどうだったかを話し合います。炎を見つめながら、普段はなかなか語れない本音で対話をすることでコミュニケーションがより深まり初日のプログラムは終了です。

焚火ダイアログ

焚火ダイアログ

 

【二日目】

二日目はチームで作戦会議から始めます。初日の活動を踏まえてチームでどんな風に取り組んでいきたいかを改めて話してもらいました。その後、森に入り、間伐に向けて安全管理や道具の使い方を学びます。午後はいよいよ間伐です。ここまでのプログラムで学んできた知識と積み上げてきたチームワークで、自分たちで選んだ木を伐倒します。伐倒に必要な手順は、インストラクターのデモンストレーションを見たり、説明を聞いてインプットされ、あとは自分たち次第です。安全のためのロープと滑車をかけたり、受け口、追い口をノコギリで作り、ロープを引っ張って倒すという作業を、どこまで自分たちでできるのかというチャレンジでした。

今回、結果的には一つのチームは時間内に2本の木を伐倒し、もう一つのチームはあと少しで一本目を伐倒できるというところで時間となってしまいました。これは我々にとって大きな課題となりました。インストラクターがどこまで介入するのかという観点です。今回は、あえてインストラクターは安全面だけを管理し、それ以外の口出しはしないという設定で行ったのですが、一日半かけて間伐に向けて取り組んできたのに、最終的に木が倒せないということで、参加者の満足度や達成感を下げるということが現実として起こりました。参加者の方から「もう少しインプットやサポートが欲しかった」「最終的に何も達成できなかったという印象」などの意見をいただき、今後改善していかなければならない大きなポイントとなりました。

伐倒作業 ロープと滑車をかける

伐倒作業 受け口をつくる

伐倒作業 ロープを引く

 

研修を終えて

 

終了後のアンケートからは、この研修の効果として、『コミュニケーションの促進』や『環境への関心が高まった』というのがご参加いただいたみなさんの認識でした。ポジティブなコメントとして「チームの中の自分や自分の内面と向き合うことができた」「メンバーの普段見られない姿を見ることができた」「もっと木や森のことを知りたいと思った」「見るべき視点の広さや観点を共有して、互いに意見を出し合うことの大切さなどを学んだ」などがありました。

改善点としては「振り返りではその場でインストラクターのフィードバックがあればよかった」「研修の目的を明確にし、活動の中でもっと意識できるようなサポートがほしい」「冬に実施するとしたら、もう少し寒さ対策について具体的な指示や準備がほしい」「一般の人にとっては、難易度が高かった」などがありました。あとは、プログラム全体において、ひとつひとつのプログラムの場のセッティングや、説明資料などの工夫、ランチタイム(食事)の工夫などが課題としてあがりました。研修とはいえ、もう少し楽しさを追求できるようなプログラムがあればよかったという意見もありました。

 

今回、モニタープログラムを実施してみて、大切な気づきや改善点が多く見つかりました。プログラムを構築していると、どうしても我々の森に対する思いや、林業界の常識などが強く反映されてしまったりする部分が出てきます。このプログラムに込めた思いを伝えていくことも大きな目的のひとつですが、同時に参加者の方の満足度を上げていくことを考えなければ事業としては成り立ちません。参加者の方々には、森を知り、楽しみ、その魅力を存分に味わって帰っていただきたいと思います。今回のモニターをステップとし、更に魅力あるプログラムに仕上げていけるよう引き続き頑張っていきたいと思います。

寒い中、ご参加いただいたC-tableのみなさまには心より感謝いたします。ありがとうございました。

 

[1] 「森林サービス産業」とは、山村の活性化に向けた「関係人口」の創出・拡大のため、森林空間を健康、観光、教育等の多様な分野で活用する新たなサービス産業です

【林野庁HPより】https://www.rinya.maff.go.jp/j/sanson/kassei/sangyou.html

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