検知作業
林業の世界では、木材の取引単位は立方メートルです。丸太一本いくらということではなく、1立米(りゅうべい)=1㎥あたりいくらということになります。ということは、伐り出した木を一本一本測らなければならないということですが、今回は、木材の材積を算出するための検知という作業について説明します。
まず、伐採された木は、大抵作業道脇に並べられ、その状態をはい積みと呼びます。
写真の材はすべて4m材として4m10㎝でカットされています。この状態の丸太の末口(小さい方の径)の最小径を測ります。丸太は大抵、根本から上に向かって細くなりますので、太い方を元口(もとくち)、細い方を末口(すえくち)と呼びます。作業員は、はい積みをする際、末口を作業道側に向けて揃えておきます。末口の直径といっても、ほとんどの丸太はまん丸ではなく、歪んでいますので、測る場所によって直径がだいぶ変わります。径を測る際は、樹皮を除いて測り、14cmまでは1cm刻みで測りますが、14㎝以上は2cm刻みで測ります。
下の写真の場合、赤線の部分で測るよりも、青線の部分で測る方が直径が小さくなるのがわかりますか?
作業は二人一組で進められ、一人が測り、一人が記録していきます。測った直径を丸太の切り口にチョークで書き込んでいきます。
実際の材積の算出方法はいくつかありますが、『最小径の2乗×長さ=材積』という“末口二乗法”を使って計算する場合は以下のとおりです。
例えば最小径が16㎝、長さ4mの丸太の場合
0.16×0.16×4=0.1024
小数点第4位を四捨五入して、0.102㎥が材積となります。
こうして、伐り出した材が大体どのくらいの材積になるかを把握します。通常、原木市場でもこのように材積を算出し、丸太の入札が行われています。
大抵、丸太の搬出は冬場に行われるため、検知も寒い冬の林内で行われます。今回も寒い中、丸1日かけて約12000本の測定を行いましたが、最近ではこの作業を、スマートフォンではい積みを撮影するだけで本数、総材積まで自動に測定できるアプリが開発されています。いつかは南都留森林組合にも導入されることを願い、地道な作業に取り組む今日この頃です。
執筆:辻