森の学校
今回は、刈払機を使用した下刈りの実習です。
下刈りというのは、林業においてとても大切な作業です。植栽された苗木が周囲の雑草木に負けなくなるまでには早くて5~6年がかかります。
その間、苗木が元気にすくすく育つためには、様々な手をかけますが、下刈りもそのひとつの作業です。下刈りについては、Vol.6でもお伝えした通りですが、今回はより詳しくお伝えしたいと思います。
下刈りは土壌条件の良い植栽地では、5年間程度は毎年2回の下刈りをします。刈り方にはいくつか種類があり、植栽地の全面を刈る『全刈り』、植栽木の列に合わせて列状に刈る『筋刈り』、植栽木の周囲1m四方程度を円形または方形に刈る『坪刈り』などがあります。
それぞれメリット、デメリットがありますが、一般的には林業では全刈りが多いようです。
刈払機は、チェーンソーに比べて一般の人にとってもかなり身近なものだと思います。
庭や畑の雑草を自分で刈払機を使って刈る光景はよく見かけますので、おそらくそれほど扱いが大変だとか危険だというイメージはないかもしれません。
確かに庭の草をちょっと処理するだけならばそれほど大変ではありませんが、林業の下刈作業は広大な植栽地を半日、あるいは一日作業で取り掛かり、時には数週間かけてひとつの現場を完成させます。また、ほとんどの植栽地はかなりの斜面ですから、平地での作業に比べて難易度も危険度もはるかに高くなるということです。
今回は、比較的平地の草を刈る実践練習でしたが、私が意識したことは、『刈幅はなるべく一定に目の前の草だけを刈る』ということです。
作業をしていると、ついあっちの草もこっちの草も目についてしまい、無駄な動きが多くなります。それを我慢して、自分の目の前を一定の幅でひたすら同じ動きで刈払機を動かしていくと、作業の効率もあがり、刈高も一定になるということがわかりました。
先にも述べたように、林業の下刈り現場は、ほとんどが斜面ですから、実際には足場を確保しながら、地面の傾斜を読みながらの作業になります。
また、柔らかい草ばかりではなく、笹や小径木なども刈りますので危険も伴います。森林組合のスタッフたちも、現場では常に作業員同士の距離を保ちながら、安全には細心の注意を払って作業を行っています。
実践練習のあとに、リスクアセスメントを行いました。実際に作業をしてみて、どんな時にどんな危険を感じたか、他の人の作業を見て何が危険だったかなどを話し合い、それに対してどのような対応が必要かをディスカッションします。
そうすることで、客観的に危険を認識して改善することが目的です。みなさんも刈払機を使うときはケガをしないよう注意しましょう。