測量
測量は森林整備にとって欠かせない技術のひとつです。
整備をする森林の調査が終わったら、実際に施業する森林の周囲を測量し、施業地の面積を把握します。
山林の測量は、2~3人一組でポケットコンパスを使用し、方向角、高低角、斜距離の計測を行います。コンパスにはアナログタイプとデジタルタイプがあるのですが、デジタルタイプでの測量が、作業スピードも速く、測定したデータも自動で専用ソフトに飛ばすことができることから、現場で導入する事業体が増えているようです。
森の学校では、実際に方向角や高低角を意識することで、森の地形をイメージすることと、測量の基礎を学ぶということが趣旨ですので、もちろんアナログタイプの測量に挑戦です!!
測量に使用する道具はたくさんあり、ざっと並べてみても、コンパス、測量ロープ(間縄)、赤白ポール、杭、ハンマー、野帳、筆記用具、GPS、鉈や手ノコ、マジック、スプレー、カメラ、図面などなど・・・。測量現場に向かうときは、忘れ物をしないようにチェックが欠かせません。
実際の測量は、一人が杭上にコンパスを据え、もう一人が次の杭の場所を決めて、ポールを構えます。コンパスを覗いて、望遠鏡の軸の方向を調整し、ポールを捉えたら、コンパスの方向角と高低角を計測します。その後、間縄をピンと張り、測点間の斜距離を測り、それらの数値を野帳に記録します。
測点を決めながら前を行く人は、どこをどう伐るかということを考えながら、更にコンパスから見える位置に杭を打たなければならないため、前後の測点を意識して杭を打っていくので、豊富な経験と技術が必要です。
難しいのは、実際の山林ではかなりの斜面を測量することになりますから、コンパスの三脚を据えるだけでも大変ですし、水平をとるのも一苦労です。また、間縄は測点間の最短距離を測らなければなりませんので、前を行く人は、次の測点まで真っ直ぐ進まなければなりません。斜面も直登、直下降です。
測量した数値は、専用ソフトにデータを打ち込むことで、図面が作られ、それを基に面積が計算されます。そして、その図面を基に実際に伐採作業をする作業員たちが森に入ることになります。
一般の人々にとって馴染みのない林業作業の中でも、特に調査・測量がどういうものなのかということは、なかなか知られていないと思いますが、とても大切な作業です。経験を積んで、少しずつ技術を身に着けていきたいです。
執筆者:辻