間伐作業
いよいよ森の学校では伐木作業が始まりました。
みなさん、『間伐』という言葉を聞いたことがありますか?
間伐とは、森林に植えられている木を間引くことです。密植された樹木は、生長とともに少しずつ枝葉を広げ、樹冠密度が高くなり、林内に届く光は少なくなっていきます。植栽から20年くらいの森林は光環境を改善し、林内環境をコントロールしていくことが、良い森づくりにとってはとても重要です。
樹木は枝葉を広げ日光と二酸化炭素を取り入れ、地中では根を広げ、水分と養分を吸います。間伐をして適度な光が森に差し込むことで、林床の状態もコントロールします。理想的な林床は、低木や草などが生え、育てたい樹種の成長に必要な養分が地中に貯えられ、多量の雨が降っても土壌の流出を防ぐ役割も果たします。
また、間伐のもうひとつの目的は、木材として収穫し、収入を得ることです。樹木の成長段階に応じた木材需要に合わせて、市場へ供給します。今は、スギやアカマツなどの間伐材は、合板材として使われたり、チップ材としてバイオマス燃料になったりします。林業では一般的に10月から3月が間伐の時期です。樹木が水分や養分を吸い上げなくなるこの時期が伐採に適しているのです。
実際の伐木作業というのは、常に危険と隣合わせです。林業での事故で一番多いのが、伐木作業中の事故です。安全な作業のためには、木の重心を読み、可能な限りコントロールして、狙った方向に伐り倒すことが重要になってきます。
伐倒までの主な手順は、①木の重心を読む、②木の通り道を読む、③上層を確認する、④自身の安全を確認する、⑤倒れた先の安全を確認するということです。
そして、最も難しいのは、チェーンソーを使った実際の伐倒作業です。まず、倒したい方向に向かって垂直に受け口を作ります。受け口は、水平切りと斜め切りを合わせた30~40度の三角形に木の根元部分を切り取る作業です。
受け口が完成したら、今度は追い口を作ります。これは、受け口の水平切りより2~3㎝高い部分に反対側から水平に切り込みます。
受け口と追い口を作る目的は、安全な伐倒には欠かせない役割を果たす『つる』を作るためです。つるというのは、ドアのちょうつがいの役割と同じで、最後まで伐らずに断面に残す部分が少しずつ裂けていくことで、倒れる木をコントロールします。
この受け口と追い口の伐りこみをいかに正確にできるかが、安全で正確な伐木作業につながりますので、今回の実技は、とにかくチェーンソーを使って、受け口と追い口を作る訓練です。
チェーンソーは使い慣れるまで、ただ水平に伐るだけでも難しく、受け口の斜め切りと水平切りをぴたりと合わせることは、何度練習してもそう簡単にできるものではありません。我々の特訓はひたすら続き、次回はいよいよ立木の伐倒です!
執筆者:辻